損をしないためにはお金は貯蓄するべきか投資するべきか?
いまだ日本にはお金は貯蓄をするという考え方が根強いですが、貯蓄と投資がどちらがお得なのかを将来のために一度しっかり考えてみてはいかがでしょうか。
投資が危険という負のイメージ
投資に関してまだ抵抗がある日本人は、保守的な資産運用しかできていません。
昨今、国内における家計の金融資産総額は上昇傾向がみられるが、約半分が現金・預金、残りの半分が保険や年金準備金、株式、投資信託、債券で運用されています。
アメリカの資産運用は現金・預金はわずか10%ほどで、他は投資信託などに分散投資をしています。日本は「守り」に対して、アメリカは「攻め」といった資産運用になっています。
お金に対する考え方の違い
日本に投資が根付かない原因として、お金の話は一般的にタブーという傾向があるからだといわれています。
昔からお金は楽せず、汗水たらし稼ぐというブラック企業や後進国の過酷な労働環境をイメージしているかのような根性論的な考え方から抜け出せないためです。
また、投資には成功している話より、失敗して破産したなどのマイナスなイメージが広まりやすく、「投資は危険」と敬遠してしまう人が多いのです。
しかし、アメリカでは昔から投資が当たり前に行われており、お金や投資に関してのリテラシーが高い為、資産運用でこれほどの違いがでてくるのです。
銀行に預金してもお金は増えない
3,40年前の1980年代では普通預金の利率3%、1990年代では定期預金の利率が6%という時代で、銀行へ預金していれば利子が付き、利息で暮らしていけるなんて夢のような話もありました。
しかし今やメガバンクの普通預金の金利は0.001%まで下がり、仮に普通預金口座に10万円預けたとしても、1年で1円ほどの利息しか付きません。
銀行にお金を預けても増やすことは難しい時代になってしまいました。
お金がない人から投資を始めるべき
投資はお金に余裕がある時から始めようと思っている人が大半だと思います。
しかし、銀行預金はいまや「預けている」だけになり、そのままではお金は目減りしていきます。
その理由は『インフレ』が関係しています。
預金にもリスクはある
日本人の考え方としては、リスクをとって投資をするよりも、預金する方が安全で確実だというのが一般的です。
しかし、実際は普通預金に預けていてはお金が減ってしまっているということをご存知でしょうか。
預けたお金はそのままの額ですが数年後に同じ価値があるか、モノの値段が上がっていたらお金の価値が目減りしていることになります。
そのため、預金しているから絶対に安全というわけではなく、リスクもあるということを理解しましょう。
これからは銀行に預けて待つのではなく、自ら積極的に資産運用を考えて、実行する必要があります。
実際にお金を持っている人は、現金でなく資産を持つことが大切という考え方をしています。
すぐに使うお金は現金・預金で持っているべきですが、しばらくは使う予定のないお金は積極的に投資した方が、今後のインフレ対策として有効になります。
インフレとは
インフレーション(英語: inflation)とは、モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が下がることです。
インフレの原因のひとつに好景気があり、景気が良いとモノがよく売れ、需要が供給を上回りモノの値段が上がります。
日本はこの40年間であらゆるモノの値段が上昇しています。
いま100円で購入できている缶ジュースが40年後には200円になる可能性もあり、預金をし続けていても今後お金の価値が下がってしまう理由です。
金融庁も推奨する長期・積立・分散投資
2016年9月に金融庁から「平成 27 事務年度 金融レポート」が発表されました。
この中で、国民の安定的な資産形成についても触れら長期・積立・分散投資が資産形成の、有効な手段の一つとして勧めています。
リーマンショックやギリシャ危機などによる定期的な株価暴落もありますが、長期運用を続けた場合、資金が増えることが過去データでわかっている。
今後も同じ推移になる確証はないが、資産運用を考えるきっかけとしてほしい。
リスク分散するために知っておきたい投資の賢い方法
投資で一番の目的は「お金を増やすこと」ですが、もっもと重要なことは「お金を減らさない」です。
近年、日本は低金利が続いていますので、投資を始めえなければ資産を増やすことは難しいといえます。
国内で預金をしていても金利はほとんどつきませんし、株式や債券だけで運用するのもリスクがあります。外資を保有したり、現物資産への投資でリスク分散をしてみましょう。
外資選びのポイントは「安定感」
外資預金で選べる通貨は、米ドル、豪ドル、ユーロ、英ポンド、香港ドルなど様々ありますが、最も安定感があるといわれているのは米ドルです。
世界の基軸通貨として為替が安定的で、急な暴騰や暴落が他の通貨に比べると少ないとされています。
利率が高い外貨預金
外貨預金のメリットのひとつは円預金と比べ利率が高いことで、ほとんどの銀行が定期預金で1%(米ドルの場合)を超えています。
もちろん、為替差益を得るために円高の際に外貨交換し、円安の時に日本円へ戻すことも可能です。
2011年には1米ドル=75円台まで円高が進みましたが、2017年8月時点では1米ドル=110円台なので、その価格差は45円程度となっています。
外貨預金はドルコスト平均法で平準化
外貨預金には主に3通りあります。現在の値段で購入する「通常購入」、指定したレートで購入する「指値購入」、好きなタイミングで購入する「積み立て購入」です。
いきなりまとまった円をドルに交換するのは不安という人は外貨積み立て購入から始めてみましょう。
外貨積み立ては継続購入で定期的に一定金額分を買っていく方法(ドルコスト平均法)なので、外貨の購入レートが平準化出来るのがポイントです。
これにより、円高や円安のタイミングをあまり気にすることなく外貨預金が始められます。
根強い人気の「物質資産」への投資
「有事の金」といわれるほど金(ゴールド)は根強い人気があります。
これは、インフレに強い資産で 政治・経済リスクが高まると、株式や債券などから金に投資資金が流入する傾向にあり、 金が実物資産としての価値を備えているためです。
希少性、物質的な普遍性により世界的な信用力がある金はインフレの影響を受けにくいからです。
価値がゼロにはならない
株や債券であれば破たんによって価値がゼロになる可能性がありますが、貴金属は価値がゼロになるということはありません。
金やプラチナなどは実物が存在し、限りある資産だからです。今まで発掘された金の総量は、約150,500トン、プラチナは有史以来の発掘量は約4,720トンと金の30分の1に満たないのです。
ただし、金やプラチナは一括での購入は金額が高額になってしまうので、敷居の高い金融商品になっています。
積立投資による長期投資がお勧め
金やプラチナは高額な金融商品ですが、「積み立て投資」によって、月数千円程度から始めえられる商品も増えてきています。
購入方法も他の投資商品と同様で手間もかからないので、安定した長期投資としてはお勧めです。
投資の方法を知って自分のスタイルに合った投資を始めよう
一口に「投資」と言っても「株式投資」、「債券投資」や「外貨預金」、実物資産への投資など様々種類があります。
各投資の特徴を理解し、自分のスタイルに合った投資を始めてみよう。
ハイリスクハイリターンな「株式投資」
株式投資は以前と比べて身近な投資となってきました。
その理由の一つがネット取引が普及したことがあります。
店舗型からネット取引へ
一昔前であれば、株の売買は証券会社へ行くか、電話での注文しかありませんでした。しかし、現在はネット証券を利用している方が大半ではないでしょうか。
ネット証券とは、インターネットから株の売買を行える証券会社(店舗型のでもネット取引が可能な証券会社はあります)のことで、いつでも注文が可能で手数料も安いという魅力があります。
一般的なネット証券の口座開設の流れは、ネット環境へ接続できるパソコンやスマートフォンで証券会社のホームページへいき、必要事項を記入して申し込みます。
数日後には登録住所へ書類が届きます。マイナンバー、本人確認書類、印鑑、金融口座の登録を行えば、早ければ1週間程度で口座の開設ができ、株式取引が始められます。
手数料は取引方法によって証券会社ごと異なるため、サービス内容など含めて比較検討することをお勧めします。
口座を開設したら取引へ
口座を解説したら投資資金を振り込み、買い注文を出してみよう。
ただし、すぐに買い注文を出すのではなく、価格とチャートをチェックして現在の相場を見極める必要があります。「安く買って高く売る」ことで利益が生み出せるので、事前の情報収集が必須です。
株の売買は買いたい銘柄のコード、株数、注文方法(成行か指値か)を証券会社の取引画面へ入力します。
事前の情報収集でめぼしい銘柄がないようであれば、自分の好きな会社や身近な会社を選ぶのも良いでしょう。取り扱っている商品が好き、サービスが便利などの理由を購入する株の理由とするのも良いでしょう。
リターンは低いが安全性が高い「債券投資」
債権とは、、国、地方公共団体、企業、または外国の政府や企業などが一時的に、広く一般の投資家からまとまった資金を調達することを目的として発行するものです。
投資として債券投資は安全性が高い
投資のなかで債券投資は比較的、安全性が高いといわれています。
国が発行している個人向け「国債」は1万円から購入が可能で、国が破たんしない限り元本は保証されるからです。
2017年8月3日時点の年利回りは0.074%なので、メガバンクの普通預金と比較すると約74倍。1年間、100万円を普通預金に預けていても約10円しか利子がつかないのに対し、国債では約740円の利子が得られるということにいなります。
安全性が高くてもリスクはある
ただし、債券投資も「投資」のため少なからずリスクがあることは忘れずに。
例えば国や会社の債券を持っていて破綻してしまった場合、元金の一部しか戻ってきません。
更に、リスクが低い分、リターンも少なくインフレに弱いという特性があります。
例えば、利率が固定で年1%の債券は1年後に1%の利益を得られますが、インフレ率が2%上昇した場合、マイナス1%の運用となります。
今後、日本がインフレになる可能性も高いので、資産運用は計画的に行う必要があります。
株と債券の違いとは
株と証券の大まかな違いは、株は「株主になる」に対して、債券は「貸す」というイメージ。
順調に資産運用ができれば、リターンが大きいのは株。
債券でもっとも安全といわれているのは国債で日本が破たんしない限りは保証されるが、ネット銀行の定期預金とほぼ変わらない金利になっている。
株の特徴
高い利益が期待できるが、損する可能性も高い。
株主優待で年1~2回、配当金とは別に品物や食事券などを株主に配っている会社もある。
利益を狙うには常に情報収集が必要。
債券の特徴
満期まで待てば利益が保証される。
損失が出るときは発行元が破たんしたとき。
リスクは少ないが、その分リターンも少ない。
米国雇用統計やGDPだけじゃない景気動向を示す注目すべき経済指標
ファンダメンタルズは「経済の基礎的諸条件」と訳され、具体的には経済成長率、インフレ率、貿易収支などで表される経済的要因のことになります。
この経済的要因の分析を通し、為替レートの方向を探る方法がファンダメンタルズ分析です。為替レートはさまざまな経済要因の変化によって変動するため、これらを分析することにより為替レートの予測ができるという考え方になります。
ファンダメンタルズ分析により「円高の理由は日本の景気が回復したから、今後も景気回復が継続し円高が続く」や、「米国の貿易収支の赤字が今後も拡大しそうだから、ドル安になる」と為替レートの予測することができます。
このファンダメンタルズ分析を行うにあたり、非常に重要なのが世界の経済の中心「アメリカの経済指標」になります。アメリカの動向は世界中に影響を与えるので、どの通貨ペアで取引を行うにしても必ず確認をするようにしましょう。
毎月第1金曜日発表の米国雇用統計
月に一度発表される「米国雇用統計」が全世界が注目する経済指標といっても過言ではありません。
米国雇用統計は原則、毎月第1金曜日のNY時間午前8時30分(日本では21時30分-米・夏時間、22時30分-米・冬時間)毎月第1金曜日にアメリカの労働省が「失業率」、「非農業部門雇用者数」、「週労働時間」、「平均時給」、「建設業就業者数」、「製造業就業者数」、「金融機関就業者数」など計10数項目の指標を公表します。
なかでも「失業率」と「非農業部門雇用者数」の2項目は、アメリカには日本のような終身雇用や正社員という働き方の考えがないため、景気のよしあしが雇用に反映されると考えられ、数字の推移に注目が集まります。
金利政策(金利)への影響
米国では雇用状況の改善が政策の主要目標となり、失業率を含む米国雇用統計はFRB(Federal Reserve Board of Governors の略で連邦準備制度理事会のこと) が金融政策を遂行するうえで重要な判断材料になります。
雇用状況が悪化すれば、FRBは金融を緩和気味にし金利を下げることを検討し、逆に雇用状況の改善が進み労働市場が過熱すれば金融を引き締め、金利を上げることを視野に入れます。
一般的に、ドル金利を下げればドル売りが進み、ドル金利を上げればドル買いが進むという関係性になります。したがって、雇用状況の悪化はドル下落傾向を示し、雇用状況の改善はドル上昇傾向を予測ができます。
雇用状況の悪化とは
失業率は年率4.25%とうように示されますが、非農業部門雇用者数は前月比20万人増加というように示されます。雇用状況の悪化は失業率が上昇、非農業部門雇用者数が減少することになります。
1980年代までは失業率の数字が注目されていましたが、90年代に入り非農業部門雇用者数が景気を反映した雇用状況をより的確に表していると注目されるようになりました。
日本やユーロ圏の雇用統計は
アメリカと比較し、日本やユーロ圏の雇用統計はそれほど注目されません。日本銀行もECB(European Central Bank の略で欧州中央銀行のこと)も物価の安定が主要な政策目標なので、失業率などの雇用統計を政策決定上、アメリカほど重視することがないためです。
1月・4月・7月・10月下旬発表のGDP
GDP(Gross Domestic Product の略で国内総生産のこと)はその国の経済の規模を表す経済指標で、四半期毎などに世界各国で発表されます。
モノやサービスの付加価値(モノやサービスの価格から材料費や人件費などを差し引いたもの)の合計を数値で表したもので、国ごとに得意としている産業や儲け出す仕組みが異なるため、GDPという数値化することで各国の比較が可能になります。
GDPの伸び率(成長率)
外国為替市場では四半期別、年間のGDP伸び率(成長率)が注目されます。成長率には名目成長率と物価指数を調整した実質成長率がありますが、外国為替市場では実質成長率が注目されます。
GDPの成長率が高ければその国の通貨が上昇すると判断され、投資機会が増えて海外の資金が流入して通貨が買われます。逆にGDPの成長率が低ければ、投資機会が少なくなり、投資収益も期待できないため、高い成長率への国へ資金が流出し通貨が売られ下落傾向になります。
実質GDPが伸びることで景気が良くなったと判断され国内外から資金が集まるということです。
テーマによって逆に動くことも
たとえば、米国の経常収支の赤字が焦点となっているなか、米国のGDP成長率が高い数字を示したとした場合、通常米国の経済が好調と判断され米ドル買いが進み、米ドルが上昇します。
しかし、米国経済が好調で輸出が増加して米国の経常収支(貿易収支)の赤字が増加するという見方が優勢になった場合、米国のGDP成長率が市場の予測より高く発表されても米ドルが下落することもあります。
外国為替市場では一定期間ひとつのテーマが注目され、為替が動くことが多くあり、すべての数字がそのテーマの観点から解釈され米国の経常収支が赤字であっても、外国為替市場の焦点ではない場合はこのような結果にはなりません。
金利との関係
GDPは金利との関係を通して為替レートに影響するとも考えられ、GDP成長率が高いということは経済が好調のため、金融は引き締められ金利が上昇傾向になる。そのため、その国の通貨は上昇傾向になると判断されます。
逆にGDP成長率が低いと金利を下げるなどの金融緩和策をとって景気を刺激しようとするため通貨が下落傾向になると判断されます。
他の注目すべき経済指標
「米国雇用統計」や「GDP」以外にも景気動向を示す経済指標があり、予想と実際の数字にサプライズがあるかによって為替レートが大きく動く傾向があります。
経済指標名 | 国 | 公表予定日 | 内容 |
---|---|---|---|
MBA住宅ローン申請指数 | アメリカ | 毎週水曜日 | 米抵当銀行協会(The Mortgage BankersAssociation)が発表している、個人の住宅ローン申込件数を数値化したもの。一戸建住宅販売や住宅建設の先行指標となり、住宅の動向は経済への波及効果が高いことから、経済状況を計る材料とされています。 |
ISM製造業景況指数 | アメリカ | 毎月第1営業日 | ISM製造業景況指数とはISM(Institute for Supply Management:供給管理協会)が発表する製造業における景気転換の先行指標。アメリカ国内の製造業の仕入れ担当などにアンケートをし、生産や新規受注、在庫などの状況を判断して数値化したもの。50%が景気動向の良し悪しを測る分岐点 |
ISM非製造業景況指数 | アメリカ | 毎月第3営業日 | ISM非製造業景況指数とはISM(Institute for Supply Management:供給管理公社)が発表する非製造業における景気転換の先行指標。非製造業の担当にアンケートを取り作成する調査。50%が景気動向の良し悪しを測る分岐点。 |
小売売上高 | アメリカ | 毎月第9営業日 | アメリカの商務省が発表する、スーパーや百貨店など約5,000社の小売業の売り上げ調査を元に推計される数値。個人消費から景気やGDPの動向を知るために活用されます。 |
景気動向指数 | 日本 | 毎月初旬 | 内閣府が算出する生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された経済活動の指標。先行指数、一致指数、遅行指数などがある。 |
NAB企業景況指数 | オーストラリア | 毎月初旬~中旬 | オーストラリアの市中銀行であるナショナル・オーストラリア銀行(National Australia Bank)が、国内企業400社以上を調査し、今後の景況感の動向を集計した指標。企業からみた、経済の現況と将来の先行きがわかります。 |
ZEW景況感指数 | ユーロ圏 | 毎月中旬 | ZEW景況感指数とは民間調査会社・ZEWが発表する景気先行指数。今後6カ月の見通しを市場関係者やアナリストからヒアリングしまとめたもの。「よい」から「悪い」を引いた数字で表されるため、0以上で景気が拡大と判断される。 |
IFO景況指数 | ドイツ | 毎月下旬 | IFO景況指数とはドイツの経済・社会調査・政策研究を行う非営利の公的研究機関IFO研究所が、全独1万社を対象に今後6カ月の先行きをヒアリングし指標化したもの。ユーロ圏でもっとも経済が発展しているドイツの指標として注目が高い。 |
企業景況感指数 | フランス | 毎月下旬 | フランス国立統計経済研究所(INSEE) が発表する企業景況感指数とは、フランスの企業活動の現況調査を指数化したもの。企業からみた経済の現況と将来の先行きがわかり、数値が高いと景気が上向いていると判断される。 |
ファンダメンタルズ分析を活用しFX自動売買(システムトレード)で使いこなそう
ファンダメンタルズ分析は過去にあった事象から、将来同じようなイベントが発生したときの結果を予測することができます。
例えば、金融政策決定会合で日本銀行がどんな発言をするかや、中東で大規模テロが発生した場合G7(Group of Seven の略で先進国首脳会議のこと)でどんな合意がされるかなどのイベント、アメリカの雇用系統やGDP(Gross Domestic Productの略で国内総生産のこと)、景気動向などの経済指標が為替を動かす一つの要因になります。
このような経済指標の発表による動向はテクニカル分析では難しく、ファンダメンタルズ分析とバランスよく組み合わせた分析が必要となります。
ファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ(fundamentals)とは国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳されます。
日々報じられている政治や金融、国際関係などさまざまなニュースは、ゆくゆくは政治・為替市場に影響されると考えられています。
以下の表のような一般的な要因によるに通貨高・通貨安の変動はもちろん、複数の要因が絡み合って為替が変動することもあります。
通貨レートが変動する主な要因
通貨高につながるニュース | 要因 |
通貨安につながるニュース |
---|---|---|
【好景気】株価や金利が上昇することで海外から資金が集まり通貨高 | 景気 |
【不景気】株価や金利が下落することにより海外に資金が流出 |
【上昇】経済全体が伸びている | GDP成長率 |
【下落】経済全体が減速 |
【高金利】金利が高いほど投資資金が流入。※高すぎると景気抑制策がとらわれることも | 金利 |
【低金利】投資資金が流出。※低すぎると景気刺激策がとられることも |
【黒字】海外で設けたお金を自国の通貨に両替するため、通貨高 | 貿易 |
【赤字】輸入品を多く買っている状態。自国のお金を売り、他国のお金を買っているため通貨安 |
【黒字】海外で設けたお金を自国の通貨に両替するため、通貨高 | 財政 |
【赤字】輸入品を多く買っている状態。自国のお金を売り、他国のお金を買っているため通貨安 |
【株高】日経平均株価やダウ平均株価など、各国の株価指標が好調だと通貨高 | 株価 |
【株安】2通貨間の株価指標を見比べて、上昇幅の少ない(下落幅の多い)通貨が安くなる |
【上昇】資源国では収入増 | 原材料価格 |
【下落】資源国では収入減 |
【増加】起業が今後の売り上げ増を見込み投資をしている状態 | 設備投資 |
【減少】起業が今後の売り上げ減を見込んで投資を控えている状態 |
【増加】個人消費が増加すると景気が良くなり、通貨高(個人の消費はGDPの大部分を占めるため) | 個人消費 |
【減少】個人消費が減少すると景気悪化し、通貨安 |
【改善・雇用増】失業者が減り、仕事が増えれば景気が良い証拠 | 失業率 |
【悪化・雇用減】失業者が増え、仕事が減れば景気悪化の証拠 |
【安定・紛争なし】政局が安定していると通貨の価値も安定 | 政局・紛争 |
【不安定・紛争あり】政権が安定しないと通貨の価値も不安定 |
経済指標は事前予測と比較
為替市場を動かす大きな要因の一つは金利で、金利が上がれば通貨価値が上昇し、金利が下がれば通貨化価格は下落するというのが基本的な関係になります。
また、外国為替市場で特に注目されるのが各国の政策金利で、日本なら日本銀行、アメリカならFOMC(Federal Open Market Committeeの略で連邦公開市場委員会のこと)、EUであればECB(European Central Bankの略で欧州中央銀行のこと)がそれぞれ決定する金利のことです。
この政策金利の変化や見通しを為替市場では注目しているため、政策金利の発表時には為替が動きやすくなっています。
インフレと金利
金利を判断する際に大切なのはインフレとの関係で、とくに新興国ではインフレによる物価上昇の対策として高金利対策をとることが多いです。
インフレが進むと、実質的な価値が低下し通貨安となり、高金利通貨であっても買われないケースがあります。トルコの政策金利は2016年で8.00%を超える高金利で注目されていますが、その背景にはインフラがあり、高い水準で進んでいるからです。
金利高は通貨高、金利安は通貨安の基本的関係を元に将来金利が上がりそうか、下がりそうかは予想してトレードの判断をしましょう。
相場を動かす指標
市場に大きな影響を及ぼすものは基本的にはアメリカの経済指標に限られます。代表的なものとしては毎月第一金曜日に発表される雇用統計があり、特に重要な数値は農業以外の雇用者数「非農業部門雇用者数」と「失業者数」からアメリカの景気先行きを示すものになります。
その他、GDPや消費者物価指数、生産者物価指数、貿易収支なども市場を動かす要因となるので、代表的な経済指標と予定は覚えていて損はありません。
為替市場にはその時々のテーマがあり、指標の重要度も変化します。
2007年末から2009年頃を中心としてアメリカ合衆国で起きた、住宅購入用途向けサブプライム・ローン(subprime lending)が表面化してからは、中古住宅販売件数や住宅着工件数などの住宅関連の指標に関心が集まりました。
景気が悪くなれば、ISM非製造業景況指数(Institute for Supply Management)や小売売上高、インフレの懸念がでれば消費者物価指数や生産者物価指数が注目が集まります。
また、経済指標で為替レートが大きく動くのは、事前の予測と発表結果と大きく食い違った場合の「サプライズ」です。
経済指標がプラスの結果だったとしても、事前の予想より良くなければ売られ、逆にマイナスでも予想よりマイナス幅が小さければ市場は好感し買われる要因となります。
サプライズによって為替レートは激しい乱高下が起こることもあるので、影響度の高い経済指標の発表がある際は要注意です。
為替レートを動かすのはサプライズ
為替変動の大切なの要因は何%から何%へ変わったかという変化になります。市場解説で「織り込み済み」と使われる言葉は将来起こりえる変化やイベントの結果をすでに為替レートに反映しているということです。
FOMCやECBが政策金利を発表する際に、同時にコメントを出し「今後もさらに金利を上げる予定」や、「当面は変更しない」などのニュアンスを読みとることで市場が反応するため、コメントが重要視されます。
現在、ユーロが円より金利が安くてもすでに為替市場へ織り込まれているため、政策金利の発表時に注目されるのは「ユーロと円の金利差が将来もっと開くのか、もしくは縮むのか」になります。
このことから、金利の絶対水準が高いNZドルのような高金利通貨でも今後下がりそうな通貨は売られやすくなり、低金利通貨でも金利が上がりそうと判断されれば買われやすくなります。
主な重要指標
為替市場へ大きく影響がある経済指標をまとめています。これ以外にも相場を動かす要因は多々ありますが、まずは代表的な経済指標とスケジュールを覚えておきましょう。
発表日 | NY時間 |
経済指標 | 内容 |
---|---|---|---|
第1営業日 | 10:00 |
ISM製造業景況指数 | 月次/毎月 |
第3営業日 | 10:00 |
ISM非製造業景況指数 | 月次/毎月 |
雇用統計の2日間 | 8:15 |
ADP雇用統計 | 月次/毎月 |
第1金曜日 | 8:30 |
雇用統計 | 月次/毎月 |
10日前後 | 10:00 |
中古住宅販売保留 | 月次/毎月 |
8:30 |
貿易収支 | 月次/毎月 |
|
中旬 | 8:30 |
小売売上高 | 月次/毎月 |
8:30 |
住宅着工件数/建築許可件数 | 月次/毎月 |
|
8:30 |
生産者数物価指数(PPI) | 月次/毎月 |
|
8:30 |
消費者物価指数(CPI) | 月次/毎月 |
|
9:00 |
対米証券投資 | 月次/毎月 |
|
9:15 |
鉱工業生産/設備稼働率 | 月次/毎月 |
|
15日 | 8:30 |
NY連銀製造業景況指数 | 月次/毎月 |
第3木曜日 | 10:00 |
フィラデルフィア連銀製造業景況指数 | 月次/毎月 |
20日前後 | 10:00 |
景気先行指数 | 月次/毎月 |
下旬 | 8:30 |
耐久財受注 | 月次/毎月 |
10:00 |
中古住宅販売件数 | 月次/毎月 |
|
10:00 |
新築住宅販売件数 | 月次/毎月 |
|
8:30 |
GDP | 四半期/毎月 |
|
GDPの翌日 | 8:30 |
個人所得/個人支出 | 月次/毎月 |
最終火曜日 | 10:00 |
消費者信頼感指数 | 月次/毎月 |
最終金曜日 | 10:00 |
ミシガン大学消費者信頼感指標(確報値) | 月次/毎月 |
不定期 | 14:15 |
FOMC | 年8回 |
14:00 |
ベージュブック | FOMCの2週間後 |
|
14:00 |
FOMC議事録 | FOMCの3週間後 |
|
- |
FRB議長議会証言 | 2月と7月 |
|
- |
半期為替報告書 | 4月と11月 |
テクニカル分析(チャート分析)を活用しFX自動売買(システムトレード)で使いこなそう
為替レートの過去の値動きそのものから、今後の値動きを予測する方法をテクニカル分析(チャート分析)になります。
ファンダメンタルズ分析には、経済の各種のデータがを分析し総合的に判断しますが、経済学的知識や、相当の時間と労力を必要とします。
そこで経済的要因を一切考慮せずに、「為替レートの値動き」そのものに為替レートを決定する情報が凝縮されているため、為替レートの値動きを分析することで将来の値動きを予測するという考え方になります。
テクニカル分析(チャート分析)には欠かせない、基本的なテクニカル指標を紹介します。
テクニカル指標
テクニカル指標はこれまでFX(外国為替市場)の歴史から、様々な投資家によって開発されています。
その多くは複雑な計算によって算出される数値を元にしていますが、M2J(マネースクウェア・ジャパン)も提供しているチャートソフトの機能を使えばすぐにそれらのテクニカル参照できます。
ただ、テクニカル指標はいまや数十種類を超えているので、すべてを活用するのは困難ですので代表的な5つの指標に絞って紹介します。
トレンド系とオシレータ系
テクニカル指標は「トレンド系」と「オシレータ系」の2つの指標に分類することができます。
トレンド系は、相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかを分析するのを得意とし、中長期的な為替レートの動向を予測するのに利用されます。
移動平均線やボリンジャーバンド、一目均衡表などが代表格でトレンドを分析し、上昇相場なら買いで、下落相場なら売りと順張りでのトレードとなることが多いです。
逆にオシレータ系は相場の「売られ過ぎ」、「買われ過ぎ」といった売買の過熱感をはかる指標です。
売られ過ぎなら『そろそろ上がるのでは?』と予測し買い、買われ過ぎであれば『そろそろ下がるのでは?』とみて売りをエントリーすることが多くなります。
RSIやストキャスティクス、サイコロジカルラインなどが代表格として、現在のトレンドと逆の売買をして利益を狙う逆張りとなります。
この「トレンド系」と「オシレータ系」はどちらが優れているものかということではなく、両方の指標を組み合わせながら様々な角度からの分析をし、最適なトレード手法を見つけるための手段として活用してみてください。
ボリンジャーバンド
1980年頃にアメリカのジョン・ボリンジャー氏が考案した指標で統計学の標準偏差値の考え方を応用して作成されるテクニカル指標です。
為替レートは、基本的には移動平均線の周辺で上下していることが多く、いずれは移動平均線の周辺に戻ってくると考えられ移動平均線から離れたタイミングをとらえようということです。
ボリジャーバンドのの中心になるのは移動平均線で上と下に引かれた線はアッパーバンドとロワーバンドと呼ばれたりします。この上下のラインの間に約95%の確率で為替レートが収まるように引かれています。
95.5%の確率で収まる
移動平均線の上側に1σ、2σ、3σ、下側に-1σ、-2σ、-3σという線を5本もしくは7本引くのが一般的です。
統計学上、為替レートは1σ~-1σの線内に68.3%、2σ~-2σの線内に95.5%、3σ~-3σの線内に99.7%の確率で収まるとされていすが、使い勝手がよいのは2σ~-2σになります。
上下のラインからはみ出す確率は5%以下になることから、ボリンジャーバンドは2つのトレード手法に活用できます。
1つが、移動平均線から大きく離れた位置に為替レートがある場合、現在の為替レートが2σ、3σのラインにあれば売り、-2σ、-3σのラインにあれば買いと逆張りし、移動平均線付近に戻ってきたところで決済する逆張りのトレードで活用できます。
もう1つはバンドの広がり具合を参考に売買する方法で、バンドは為替レートの変動が大きい時に広がり、小さい時に狭まります。そこでバンドが広がった時に為替レートの動いた方向をチェックし、上に動いたら買い、下に動いたら売るという順張りのトレードで活用できます。
上下のバンドに沿った動きをバンドウォークと呼び、上下のバンドの幅が狭くなって値動きが小さくなったときは要注意となります。エネルギーが溜まっている状態で、大きな値動きの予兆ともいわれています。
また、バンドを抜けた場合は、強いトレンドが発生したと判断し、抜けた方向についていく戦略もできます。
MACD
MACDとは最近の値動きにより重きを置いた指標になります。直近の値動きを「重視」し、過去の値動きを若干「軽視」した方がより精度の高い予想ができるという考え方を移動平均線に取り入れた指標がMACDになります。
EMA(Exponential Moving Average)指数平滑移動平均線という移動平均線の一種を利用して作られるテクニカル指標です。
交差するポイントが売買タイミング
多くのテクニカルチャートではローソク足の下側に別のグラフで表示され、「MACD」と「シグナル」という2本の移動平均線が表示され、ゴールデンクロスやデッドクロスなどのように、交差するポイントが売買タイミングとされています。
グラフの中心にある0ラインより下で、MACDがシグナルを下から上に突き抜けるゴールデンクロスを見せたら買いになり、0ラインより上で、MACDがシグナル線を上から下に突き抜けるデッドクロスを見せたら売ると判断できます。
MACDのラインはシグナルよりも為替レートに敏感に反応し、大きな値動きがあると角度が深くなるので、角度が深いほど信頼できる売買サインとなります。
RSI
RSIとは「Relative Strength index」の略で相対力指数と呼ばれ、アメリカの著名テクニカル・アナリストであるJ・W・ワイルダーが開発したオシレータ系の代表格といわれるテクニカル分析です。
過去の為替レートから「売られ過ぎ」や「買われ過ぎ」を判断して売買のシグナルとする逆張りのテクニカル指標になります。
持ち合い時に効果を発揮
RSIは割合になり、0から100の間を行き来し、通常は30以下だと売られ過ぎ、70以上だと買われ過ぎと判断できます。
厳しく見るなら20以下・80以上としたり、長期のRSIでは40以下・60以上と目安にする場合もあります。
ただ、強いトレンドが発生したときには80以上や20以下でへばりついてしまい、売りのサインなのにまだまだ上がる、買いのサインなのにどんどん下がるといったことも起こりがちで、RSIが効果を発揮するのは持ち合い(レンジ)のときになります。
為替レートの波と同じようにRSIが動いていれば、30を下回った時に買い、70を上回ったときにうりとすることで、レンジ内での値幅で利益を得ることができると考えられています。
また、為替レートが上昇しているのにRSIが下落(もしくは為替レートが下落しているのに上昇)することをダイバージェンス(逆行現象)といいます。
これは為替レートのトレンドがRSIのトレンドに変化する予兆といわれ、RSIに従った売買で利益がでる可能性があるということになります。
現在の水準だけでなくどう動いているのかもよく見ることで、ダマシを回避することができるようになります。
ストキャスティクス
ストキャスティクス(Stochastics)とは推測統計学という意味で、過去の一定期間における高値と安値のレンジ幅の中で、現在の価格がどのような位置にあるかを数値化したものを示し、3つの指数「%K」「%D」「%SD」から構成されています。
計算の期間が短い線が「%K」で(「現在値-安値」÷「その期間内の最高値-その期間内の最安値」)×100 と算出されます。
「%D」は一定期間(%Kで用いた一定期間とは異なるように設定するのが一般的)を決めて(「『現在値-安値』の期間分合計」÷「『高値-安値』の期間分合計」)×100と算出されたものになります。
もう一つの指数「%SD」は、ある期間の%Dの平均を取ったもので、対象にする期間が3日なら、「3日分の%D」÷3 として算出されます。
一番シンプルなのが%Kの線だけを見る方法で、RSIと同じように30以下なら売られ過ぎ、70以上ならば買われ過ぎとそれぞれ売りと買いのサインと判断できます。
ファースト・ストキャスティクス
「ファースト・ストキャスティクス」とは%Kと%Dを組み合わせる確認方法になります。
低水準エリアで%Kが%Dを上に抜けていくゴールデン・クロスが出たところが買いシグナルとされ、短期トレード向きといわれています。
スロー・ストキャスティクス
「スロー・ストキャスティクス」は%Dと%SDを組み合わせる確認方法になります。
低水準エリアで%Dが%SDを上に抜けるゴールデン・クロスは買いシグナルとされます。
ファースト・ストキャスティクス反応が敏感すぎため、ダマシも多くなってしまうのでロー・ストキャスティクスが一般的といわれています。
DMI
DMI(Directional Movement Index)とは一般的に方向性指数と呼ばれ、為替レートの方向性(トレンド)を推し量ることができます。
RSIやピボット、パラボリックと同じくアメリカの著名テクニカル・アナリストであるJ・W・ワイルダーが開発したテクニカル指標の一つです。
トレンド(方向)の強さを表すADX
DMIは以下の3つのラインで形成されています。
+DI | 上昇トレンド(方向)を表す |
-DI | 下降トレンド(方向)を表す |
ADX | トレンド(方向)の強さを表す |
売買ポイントは+DIと-DIがクロスしたときになり、+DIが-DIより数値が大きい場合は上昇トレンドにあると考え、逆に-DIの方が大きい場合には下降トレンドにあると判断できます。
+DIが-DIを下から上に抜いた場合は、上昇する力が強い為、買いのサイン。逆に+DIが-DIを上から下に抜いた場合は下落する力が強いので売りのサインになります。
ADXはトレンドの強さをみるものになり、ADXが上昇している間はトレンドが継続しているとされ、ADXが下落しているときはトレンドがないと考えられています。
ADXでトレンドの状況を確認し、+DIと-DIで売買のタイミングを測る際に有益ですのでうまく活用してみましょう。
テクニカル分析(チャート分析)の代表「移動平均線」でトレンドを予測しよう
毎日の終値を折れ線グラフをつなげたものがチャートになり、始値・高値・安値・終値の4本値を記録すれば、ローソク足チャートになります。
これを日々チェックすることで1日にどの程度の値動きがあるかの感覚が身に付きます。昨日100円だった米ドル/円が今日の終値が50円になることは想像しにくいことがわかります。
このように、チャートを見て、過去の傾向から未来の変化を予測することが「テクニカル分析」といいます。
テクニカル指標の代表「移動平均線」
為替レートの全体的なトレンドを読み取るために利用される「移動平均線」があります。
移動平均線とは一定期間の終値の平均をチャートにプロットし、1本のラインに結んだものになります。例えば「5日移動平均線」であれば、過去5日間の終値を足して5で割った平均値を順に結んでいきます。
このように、どのくらいの期間をグラフにするかで名前が変わり、26週間の移動平均線であれば「26週移動平均線」となります。
移動平均線どんなチャートにも装備されているテクニカル分析の基本ツールで、期間はあらかじめ設定されていたり、自分でも変更可能です。
この移動平均線はトレンドと売買タイミングの判断材料となり、移動線の傾きは上向きならトレンドは上昇傾向、横ばいならレンジ相場、下向きなら下落相場と予測できます。
また、傾きの角度によっても急であればあるほどトレンドの勢いも強く、急だった傾きがなだらかになってきたら、トレンドの終了と判断できます。
2~3本組み合わせて使うと効果的
移動平均線は1本だけでなく、2本、3本と組み合わせて使うと効果的です。
ポピュラーな組み合わせとして、5日、25日、200日と「短期・中期・長期移動平均線」を同時に表示させ、『200日線が上向きだから長期的には上昇トレンドだが、短期的には5日線が下向きだから押し目」と予想ができます。
短期のトレンドを知りたいときには短期の移動平均線、長期のトレンドを知りたいときには長期の移動線で上昇トレンド・下落トレンドを把握します。
現在の価格が移動平均線から離れすぎている場合、一時的に買われ過ぎた(売られ過ぎた)の判断材料ともなり、移動平均線の近くに戻ると予想すれば、大きく離れたところでポジションをとり、戻ってきたところで決済するトレードも可能です。
移動平均線の法則は多数あり
複数の移動平均線や為替レートの推移などの位置関係や交差の仕方などによって、売買のタイミングを測る手法がこれまでにもたくさん研究されてきました。
もっとも有名なシグナルとしては「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」になります。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは「日足」のチャートを開き、25日(短期)の移動平均線と、75日(長期)の移動平均線を表示させ、2つの線の交わり具合を確認します。
25日線の移動平均線が75日の移動平均線を下から上へ突き抜けていくところが「ゴールデンクロス」といわれ、買いのシグナルになります。
デッドクロス
デッドクロスはゴールデンクロスとは逆になります。
25日の移動平均線が75日の移動平均線を上から下に突き抜けていく場面がデッドクロスになり、売りのシグナルとなります。
どちらも確実に上昇トレンド・下落トレンドを把握することはできませんが、効果的なシグナルといわれています。
他に、為替レートと移動平均線の関係で売り買いのタイミングを示した「グランビルの法則」なども有名です。
パラメータの設定は様々
先ほどは25日(短期)の移動平均線と、75日(長期)の移動平均線を例にしていましたがパラメータの設定に決まったルールはありません。
パラメータとは
テクニカル分析を使う時に入力する数値で、同じ日足の移動平均線でもパラメータが5なら5日移動平均線になり、200と設定すれば200日移動平均線となります。
M2J(マネースクウェア・ジャパン)が提供するチャートソフトの移動平均線初期値は期間1「5」、期間2「21」、期間3「90」となっており、チャート設定からユーザー自身で変更も可能です。
パラメータ次第でテクニカル分析も変わる
短期と長期の2本の移動平均線があれば大丈夫です。短期のパラメータを5日や9日など短くしていくと、クロスの出現する頻度も増えるため、ダマシの回数も増えてしまいます。
一方でパラメータを長くすると、出現するシグナルが減ってしまう可能性もあるので、パラメータを変更しながら出現頻度とダマシの増減の最適なバランスを探してみよう。
他のテクニカル指標への応用
「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」は移動平均線だけでなく、MACD(「Moving Average Convergence/Divergence Trading Method」の略で移動平均収束発散法とも呼ばれるトレンドを追いかける順張り系の指標)や、RSI(「Relative Strength index」の略で相対力指数とも呼ばれる、直近の一定期間において終値ベースで上昇変動と下落変動のどちらの勢いが強いのか計測しようとする指標)で使う人もいます。
他のテクニカル指標でも考え方は同じで、短期のラインが長期のラインを下から上へ突き抜ければ買いのサインとなり、上から下へ突き抜けたら売りのサインとなります。
このクロスが便利なのがどんなトレードスタイルでも使用でき、長期投資の「トラリピ」を開始する際の注文タイミングにも利用できます。
ダマシに注意
これらの法則はすべての場合にあてはまるとは限らず、強力なレジスタンスラインを超えたため、上がるのかと思ったら下がり始めた、移動平均線のデッドクロスが出現したから下がると思いきや上がったなど、シグナルが示唆する方向と反対に動く、というような教科書通りの条件を満たしていてもその通りに動かない「ダマシ」もあります。
注文・決済するときはゴールデンクロスやデッドクロス、グランビルの法則にあてはまるから、という点のみを信用して取引をするのではなく、あくまでトレンドをつかむための一つの手段として活用するのがいいでしょう。
トレンドラインでレンジ幅を予測してトラリピ運用を開始しよう
FX自動売買(システムトレード)を開始を開始しようと通貨レートがいま上昇トレンドか、下降トレンド傾向を見極めることは非常に重要です。
ローソク足の動きからこのトレンドがどのような傾向かがわかります。
このトレンドラインはトラリピ運用でとても大切なテクニカル分析になります。
全体の傾向として上昇か?下降か?
為替レートは條辺に小刻みに変動しつつ、全体として上がっていたり下がっていたりします。これをトレンドと呼び、大きな転換がくるまでは続くといわれています。
トレンドには大きく分け陽線が連続している「上昇トレンド」、陰線が連続している「下落トレンド」と値動きが上下しているものの、上昇とも下落ともいい切れない場合を「持ち合い(レンジ)」といいます。
トラリピはレンジ相場で威力を発揮する性質がありますので、傾向を見極めるためにもチャートを分析しましょう。
チャートからトレンドを知る
チャート分析で基本的なラインは「トレンドライン」と呼ばれ、為替市場のトレンド(方向性)を示すラインになり、プロの為替ディーラーでもチャートにラインを引くだけで取引をする人も多いくらいメジャーなものになります。
トレンドラインはペンと定規でも簡単に引けますが、M2J(マネースクウェア・ジャパン)の提供するトレード画面でもトレンドラインを簡単に引く機能が搭載されているので、これを利用するのが便利です。
トレンドラインを引いてみる
トレンドラインを引くのは簡単です。チャートをパッと見て、上昇トレンドであれば際立った安値と安値を(ヒゲとヒゲ)を結びます。下落トレンドあれば高値と高値(ヒゲとヒゲ)を結ぶだけでトレンドラインが引けます。
トレンドラインを引くことで値動きの全体的な傾向がつかめ、トレンドの特徴も見えてくるはずです。この時大切なのは現在の価格とトレンドラインの位置関係です。
上昇トレンドのトレンドラインならおおむねラインに沿ってて上がっていき、トレンドラインを割らない限りそのままの傾向にある。
トレンドラインを割ったら下落トレンドに転換する可能性かもしれないし、トレンドラインから大きく離れて上昇したときは、ラインまで戻ろうとする力が働くと予想できます。
このようにトレンドラインを引くだけで相場傾向が見えてきます。ただ、トレンドラインを引きく際に大原則としてローソク足からはみ出さないように気をつけましょう。
抵抗するか支持するか
トレンドラインと並び重要なラインが「サポートライン(下値支持線)」と「レジスタンスライン(上値抵抗線)」になります。トレンドラインは斜めの線に対して、この2本のラインは水平に引く線になります。
サポートライン、レジスタンスラインはともに相場の転換点となりやすいため、新規注文や決済注文、損切りなどの目安として使用されています。
サポートライン(下値支持線)
陽線が続いて右肩上がりのローソク足の安値どうしを線で結んだトレンドラインを「サポートライン(下値支持線)」と呼びます。
線を引くことでローソク足がサポートラインに触れたところで再び上昇に転じていることがわかります。つまり、ローソク足がサポートラインを下回らない限り上昇トレンドが続くと考えられます。
サポートラインに達したら買い注文、上放れ(直前の価格から大きく価格が上昇すること)したら売りという押し目買いにも利用できます。
レジスタンスライン(上値抵抗線)
陰線が続いていて、右肩下がりのローソク足の高値どうしを線で結んだトレンドラインを「レジスタンスライン(上値抵抗線)」と呼びます。
サポートラインとは逆に、ローソク足がレジスタンスラインの下にあるうちは下落トレンドが続くと考えられ、レジスタンラインに達したら売り、下放れ(直前の価格から大きく価格が下落すること)したら買い戻すという押し目売りもできます。
トレンドラインの傾向
「サポートライン(下値支持線)」、「レジスタンスライン(上値抵抗線)」どちらもローソク足が超えたとき値動きが一気に強まる傾向があり、現状のトレンドの終了とみて次のトレンド(もしくは持ち合い)に移行するタイミングになる可能性があります。
それだけ市場の注目が集まるトレンドラインになります。
便利で使いやすいサポートライン、トレンドラインですが、ポイントとなるのは、どの高値・安値に線を引くかということです。
過去の重要な節目に引いてみて、多くの投資家が注目している相場の転換点はどこか見極めラインを引く練習をしてみましょう。
まずは、プロはどんな高値・安値をポイントにしてラインを引いているのかを参考にして、自分で引いてみることが上達のコツといわれています。